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「えっ!? だ、だって……、さっきまでステージに居たTAKUだって思うと……」
桃華はさらに赤くなった。
「なんだよ、それ」
拓人はプッと吹き出すように笑った。
「えっ? ええっ!?」
突然笑われたからなのだろう、桃華は少し不安そうにこちらを見ている。
「可愛い……」
そんな姿さえ可愛いと思ってしまう拓人は、自分が思っている以上に好きな子にイタズラをしてしまうタチなのかもしれない。
優しく微笑んだ拓人は、チュッと桃華の唇にキスを落とした。
やがて拓人の車は桃華の家の前へ到着した。
決して近い距離ではなかったけれど、着いてしまうと一緒に過ごせた時間は一瞬だったように感じる。
桃華の家の車庫に車を停めてエンジンを切ると、離れがたくて拓人は思わず桃華をぎゅっと抱きしめていた。
「桃華とこうしてクリスマスを過ごせるなんて、夢みたいだ」
「私も、夢みたい」
しばらく抱き合ったあと、拓人は少し桃華から身を離して口を開く。
「桃華、左手首貸して?」
「?」
不思議そうに左手をこちらに出す桃華の手に、そばに隠してあった金色の繊細な線を着ける。
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