第3章 11◆聖なる夜のときめき

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「はい。メリークリスマス、桃華」  桃華が驚いたように左手首を上げると、そこは月明かりに照らされてキラキラとした輝きを放っている。  金色の繊細なチェーンには、所々に可愛らしく光るピンクダイヤが光って見える。 「わあああっ! 素敵なブレスレット! ありがとう、拓人」  桃華はうっとりとした表情で、自分の左手首を見つめた。 「見た瞬間、桃華っぽいって思ったんだ」  拓人は少し照れ臭そうに笑った。  しばらく左手首を見つめたあと、桃華は「あ!」と思い出したように手のひらを叩いた。  すぐにゴソゴソと桃華は自分のトートバックから小箱を取り出して拓人に差し出した。 「こ、これっ! 頑張って焼いたの! 拓人のお口に合うか分からないけど……」  頬を赤らめた桃華に、恥ずかしそうに見つめられる。  目の前の箱を受け取り中を覗くと、焼き菓子が入っているのがわかった。  きっと桃華が一生懸命作ってくれたものなのだろう。 「ありがとう。すげえ嬉しい」 「本当? でも、拓人って料理上手だから……拓人が作るよりかはイマイチかも」
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