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「……私、お願いしてくる。ちょっと待ってて」
けれど桃華は拓人の言葉に早口でそう言うと、すぐに車から降りた。
桃華の行動力に呆気に取られながら、拓人は桃華が家の中に入っていくのを見ていることしかできなかった。
遅れて自分も一緒に行くべきだったのかと考えたが、下手に話がこじれるのもよくないと思い、しばらく一人静かな車内で言われた通り待つことにした。
中でどんな会話がなされているのだろうと思うと落ち着かない。
なかなか戻って来ないあたりだと、やっぱり反対されてるのだろうなと拓人は感じた。
しばらくして、桃華の家の扉が開く音がした。
「拓人! 良いって言われたよ!」
「ええっ!? マジで!?」
小さなボストンバッグを抱えて再び車に乗り込む桃華が発した言葉に、拓人は驚きを隠せない。
一体、桃華は何てお願いしたのだろう。桃華の両親は、何を思って一人娘を拓人の家で一晩過ごさせることに同意したのだろう。
想定外に桃華と一晩過ごせることになって、嬉しいのと同時に酷く動揺した。
「あ、もしかして、迷惑だった……?」
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