恋はポテトと一緒に落ちてくる[改稿版]

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「あいがと」 そう言ってぺこりと頭を下げるまなちゃんは柚子のミニチュアみたいですごくかわいい。 「どう致しまして」 俺は、まなちゃんの頭をくしゃりと撫でる。 「じゃあ、ここじゃ人が多くて食べられないから、持っててやるな?」 俺は、そう言って、買ってやった綿菓子を再び手に取り、まなちゃんの柚子とは反対側の手を繋いだ。 小さっ! その手は、俺の人差し指を握るのが精一杯で、キュッと掴む感触が、とても気持ちいい。 癒されるなぁ。 俺たちはそのままゆっくり人波に流されるように境内まで行き、お社の裏手の石段に座った。 柚子は、ウェットティッシュを取り出すと、まなちゃんの手を拭いてやり、綿菓子の袋を開いて、少しちぎった綿菓子を手渡した。 「ゆずたん! ないよ! お口で、シュワってなった!」 くくっ 綿菓子が溶けてなくなる感動を一生懸命伝えるまなちゃん。 めっちゃかわいいじゃん。 「柚子は、離婚したの?」 俺は小声で尋ねる。 「ううん」 そっか。未婚の母なんだ。 「あの、あのね、翔くん」 「ん?」 「今さら、すっごく言いづらいんだけど……」 柚子がもじもじしながら口を開く。 「何? あ! まさか、旦那はいないけど、彼氏がいる?」 柚子かわいいし、彼氏いてもおかしくないよな。 俺は、考えただけで、がっくりとうなだれる。 「あ、いや、そうじゃなくて……」 ん? 「じゃあ、何?」 「あのね、真菜、私の子じゃないの」 「ふうん」 俺は何気なく返事をしてから、気付いた。 「……え?」 どういうこと? 「だから、真菜は、私の子じゃなくて、お姉ちゃんの子」 「は?」 いや、だって…… 俺は、柚子とまなちゃんを見比べる。 「お姉ちゃん、2週間前に下の子を出産したばかりで、真菜をお祭りに連れて来れないから、私が代わりに連れてきただけなの。だから、まなは私の子じゃないの」 俺は、子連れの柚子に出会った時以上に驚いた。 「え、嘘!? だって、子供の頃の柚子そっくりだし」
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