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そんなある日のこと、おれは公邸で飯を食ってたところを大統領に呼び出された。雑談や簡単な連絡なら電話で済むはずなので、よっぽどの理由があるに違いない。
大統領官邸の執務室に出向くと、でかい机で執務をしてた大統領が書類の間からひょろ長い顔を上げた。ザールは地球と比べて重力が弱いせいか、この星の人間はみんな長身なのに体が細く、ぶっちゃけひ弱そうに見える。大統領だっておれが本気でぶん殴ったら執務室の天井近くまで吹っ飛びそうだけど、そんなことをしたら大問題になるからやらない。
「実は君に折り入って相談がある」
「なんでしょう」
大統領はこれまでにも、おれに何度か無茶な相談をしてきたことがある。地球のラーメンが食いたいと言うのでザールの材料でなんとかそれっぽいものを作ったり、地球のジョークを教えろと言われて『ゲッツ』とか『だっちゅーの』とかデタラメを教えたりしてる。
「大統領特使として、今からハポネロに渡ってほしい」
「えっ」
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