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ハポネロというのはメリオカの近くに位置する国で、この星では珍しくコメが穫れるので国際社会ではそこそこいい立場にいる。
「ハポネロで首相をしていたアヘという男がいる」
「はあ」
他の国のニュースにも目を通してるので、名前だけは一応知ってる。メリオカでシェアを獲得したらいずれは他の国にも会社の商品を売りこみたいからで、ハポネロもその候補に入ってる。首相を辞めた後も、議員として活動してたはずだ。
「そのアヘが亡くなったらしい」
「それはご愁傷様です」
ろくに顔も知らない相手だけど、それくらいは社交辞令として言っておく。
「国を挙げてアヘの葬儀が行われるそうだ」
「そんなに慕われてたんですか」
「そうではない」
「えっ」
「国民の支持率は50%そこそこ。在任中に増税したり公費でサクラを見たりしたせいで、一部の層からはめちゃくちゃ嫌われている」
「なのに国でやるんですか」
「実際国内では反対意見もあるらしいが、後任の首相が実績作りのために強行するようだ」
「他に実績はないんですか」
「ない」
即答された。
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