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変顔で待ち人を迎える少女。
変顔で待ち人を迎える少女。両瞳を寄せあの手この手で笑わせようと一生けんめいだ。その純朴さが愛らしい。
彼女の思い人はどんな姿だろうか
と想像してみるが、残念ながら浮かんではこない。ぼくは想像力の貧困な男なのだ。しかしぼくのそんな心配をよそに、彼女はさっそく待ち人の到来を告げた。
「あっ、来たわ」
そう言って彼女が視線を送った先にいたのは、大きな荷物を抱えてこちらに向かって歩いてくる若い男性だった。遠目なのではっきりとは言えないけれど、どうやら彼は彼女にほほえみかけているようだ。
「こんにちは」
近づいてきた男性が声をかけてきた。
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