第三ポイント 不気味の谷のアリス

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第三ポイント 不気味の谷のアリス

こんにちは! アリスです。冷たいスイーツはいかがでしたか。 食後のお散歩をお楽しみください。広々とした百ヘクタールの森には三百種類を超える鳥や花々が…。 案内始めた途端に客の一人がうずくまった。 アリスが駆け寄ると彼は仰け反った。「こっちに来るな」という。 すると連れ合いの女性が「主人は貴方のようなブツブツが苦手なんです」と怒り始めた。 「ブツブツ?」 アリスはスカートのポケットから手鏡を取り出して吐息をついた。 そして「大変ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ございません」と虚空に消えた。入れ替わりに救護班と代理の人間が駆けつけた。生身の人間である。 彼女が案内役を引き継いだ。 「萌え絵」と「トライフォビア」は、見た目が全く異なる二つのものである。前者は、かわいらしいキャラクターを描いたイラストであり、後者は、穴や格子状の模様など、不自然な形状が特徴的なものである。しかしながら、これら二つのものは、ともに人々の極端な反応を引き起こすことがある。 この「萌え絵」と「トライフォビア」の現象を説明するために、認知心理学における「不気味の谷」という概念を用いることができる。不気味の谷とは、見た目が人間に近いロボットなどの人工物が、人間に近づくにつれて好感度が上昇するが、ある程度の類似性があると急激に不気味に感じられる現象を指す。 このように、「萌え絵」と「トライフォビア」は、それぞれ極端に好感度が高いまたは低いと感じられるため、不気味の谷にまたがることがあるのかもしれない。ただし、これらの現象には、シミュラークル現象も関係している可能性がある。シミュラークル現象とは、人が何らかの刺激を受けた際に、その刺激に似たものを好む傾向がある現象である。 結局のところ、「萌え絵」と「トライフォビア」が、それぞれ極端な反応を引き起こす理由は、まだ完全には解明されていない。しかしながら、認知心理学や神経科学の研究によって、これらの現象が引き起こされるメカニズムについて、少しずつ理解が深まってきている。53cf002b-cb48-487e-b695-552a37f3a0c2
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