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第一ポイント フリードマン宇宙
普通の展望台へようこそ。
案内人の水平リーベです。
ところで「普通」ってなんでしょう。
みなさんは呼吸するように常識や当然といった言葉を使っています。
それの意味するところを理解せずさも当たり前のように利用している。
改めて問います。普通って何ですか。あなたは定義できますか。
普通という言葉は、広く通用する状態や、特に変わっていないことを表す言葉で特別の対偶であります。社会の中で普通であることや平凡であることが求められる場合もありますが、単に平凡であることは否定的に捉えられる場合もあります。
「普通」という言葉の定義は、文化や時代によって変わる可能性があります。
しかし曖昧なままでは世界は暗黒に閉ざされ人類は無知蒙昧迷信の沼に嵌ります。
液状化した日常はもはや普通というより特殊であり確かな定義を要請します。
●宇宙の絶対
さいわい私たちの宇宙はよりどころを用意してくれています。
それは光速度絶対不変の法則です。光の速さは毎秒約30万キロメートル。
最高値は絶対でありいかなる方法を用いても超えることが不可能です。
光の速度で進む粒子の表面に立つことができたとしましょう。
そこから照らすライトの光は秒速60万キロにはなりません。
30万キロに訂正されます。
なぜなら「真空中における光の最高速度は秒速30万キロ」は絶対なのです。
アインシュタインはこうした宇宙のふるまいを記述した一般相対性理論で光速度不変の法則を述べました。
そこから導かれる方程式に「宇宙項」という変数を追加して⦅⦅宇宙を停止⦆⦆させたのです。
ロシアの物理学者フリードマンは一般相対性理論を宇宙全体に適用してみました。すると宇宙が⦅⦅一様に⦆⦆膨張したり収縮したりすることを発見しました。
これがフリードマン宇宙モデルです。伸縮する宇宙論は一般にビッグバン理論として知られています。
ここで肝心なのは「一様」であること。
宇宙に変化する余地があり満遍なく変化すること。
偏りがないこと。
これが大事。
私達の宇宙は今この瞬間にも膨張を続けています。しかし私たちは自覚することが出来ません。見回しても「何の変化も感じられない」のです。
だってフリードマン宇宙ではそれが「常識」だから。
申し遅れましたがわたくしリーベはフリードマン宇宙の⦅⦅埒外⦆⦆からやってまいりました。
ご挨拶がわりにちょっとした余興を披露しましょう。
私の姿はどう見えますか。
扁平して見えますか。背後に赤い光が見て取れますか。
けっこう。
赤い光を観測できたあなたは既に常識の世界から旅立っています。
宇宙局率の変形により赤方偏移が生じているのです。
私が扁平して見えた方、フリードマン宇宙の外へようこそ。
私は非常識の案内人 水平リーベ。
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