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皮がはがれて金属がむき出しになった自分の手をながめる。
主に金属のパーツとバッテリーとコードでできたこの身体は、いつか動きを停止して、ただの物質となるだろう。それは遠くない未来の確定事項だ。
「あなたのパートナーは私。よろしくね、素敵なロボットさん」
そう言って、ひまわりのような笑顔を浮かべたあの人はとっくに旅立ってしまった。
あれから394年と87日が経過した。
夏の青い空の下、たまに一緒に出かけるときに利用していた駅を眺めて、駅前の歩道橋の脇にあるベンチに座っている。
使われなくなった駅は、ほとんど崩れかけている。
いくつもの大きな自然災害と感染症パンデミックを経て、社会は大きく変わった。人々は快適な電子の世界で多くの時間を過ごすことを選び、テクノロジーが爆発的に進歩した。
価値観の相違も利益のぶつかり合いも起こりえない理想の仮想現実を構築して、人生の軸をそこに移した。
人工知能の開発が進み、数パーセント残ったリアルの時間を共にする存在としてロボットが最も魅力的な存在となっていった。
容姿を思い通りに決めることはもちろん可能で、基本的な性格、行動原則などを好きなように設定して、後から書き換えることもできる。
リスクが高い人間同士の関わりを避け、ロボットと生きる人生を選ぶ人が増えたのは当然だと、昔、ワイドショー的なネット番組での学者の発言がバズっていた。
人間は減少の一途をたどり、やがて出生率はゼロとなった。
人間とロボットが共に生きた時代。
248年前、最後の人間は愛するロボットに見守られて永遠の眠りについたというネットニュースを見た。
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