プロローグ

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結婚までのカウントダウンをしていた自分は一体なんだったんだ。 「っていうか!」 ふと歩みを止めたら元彼の最後の言葉が蘇ってきて、フツフツと怒りがわいてくる。 「付き合ってなかったって、何じゃそりゃ!? お前は付き合ってない女と2年間も同棲するんか! セックスするんか! どんな思考回路したら、ちょっと仲のいい友達、になるんだよ!? 意味分からんわー!!」 「あ、あの、お客様……?」 恐る恐るといった感じで、不動産会社の案内人が声をかけてくる。 我にかえって、急に恥ずかしくなった。 顔が熱い。 絶対変人だと思われた。 「す、すみません」 「いえ、こちらのアパートが本日ご紹介できる最後の物件になりますが……」 営業マンの顔から視線をスライドさせると、えらく年季のはいった白い壁にブルーの屋根の2階建てのアパートがそこに佇んでいた。
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