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住環境を把握するために前の住人の退去理由を尋ねようとして、ふとベランダの隅に小さなグリーンの鉢が置いてあるのに気づいた。
「・・・・・・これ」
「あれ、なんでこんな所に観葉植物があるんだろ。もしかしたら前の方の忘れ物かもしれないですね」
「なんていう植物ですっけ?」
「すみません。植物には疎くて……」
謝る営業マンに、「私も人の事言えないです」と笑って返し、まじまじとそのグリーンを見た。
ポツンとベランダに置いてきぼりにされた植物がなんだか今の自分と重なる気がして、胸の奥がぎゅっとした。
名前も分からない植物。
達也にとって、彼女でも何でもなかった自分。
私って一体何なんだろう?
今までの2年間って何だったんだろう?
営業マンはじっと植物を注視する私に少々戸惑っている様だった。
私は顔を上げる。
「ここにします」
「え?」
「ここに決めます」
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