出会いを探して

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うちの会社は社員証を専用の読みとり機にかざせば、自動的に出勤時間が打刻される。 退社時もまた然りで、いちいちタイムカードを持たなくていいから便利だ。 自分のデスクにトートバッグを置いて首を巡らせると、いつもの経理部のメンバーが揃っていない。 東さんはまだしも、陽子先輩までこの時間帯にいないのは珍しいなぁと不思議に思っていたら、パーテーションで隔てた向こう側からから名前を呼ばれた。 「澄ちゃん! こっちだよ」 「青木さん、おはようございます」 陽子先輩と東さん、そして総務部の面々が輪を作っている。 呼ばれるまま、近づくと輪の中心には私が、最も会いたくない人物……櫻井さんがいた。 「おはようございます」 「おはよー! 青木さん」 総務部の人達がにこやかに返してくれてほっとする一方、輪の真ん中にいた櫻井さんがこちらを一瞥するとまた隣にいた私以外の経理部のメンバーに笑いかけた。 その眼差しの冷たさに、心臓がひやりとする。 あからさまな敵意の様なものが、彼女の目に滲んだ気がして。 私と達也が同棲していた事を櫻井さんは知っているんだろうか。 いくら呑気で無神経とはいえ、自分の不利益になる情報をわざわざ達也が婚約者に漏らすだろうか。
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