58人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
すごいなぁ。
どうして、こんなに周囲の色々な事に気づけるんだろう。
陽子先輩も、森宮さんも。
本当、敵わない。
「大丈夫だからね。ひとりじゃないよ、澄ちゃんは」
小声でかけてくれるその温かい一言に、心底私は安心したんだ。
◇
陽子先輩の行きつけのパスタ屋さんは2人でよく行く定食屋さんから少し離れた5階建てビルの3階にあった。
お冷を運んでくれた店員の女の子にお礼を言って、まずは2人でメニューを開く。
「今月のおすすめはウニクリームかぁ。やっぱ冬はクリーム系食べたくなるよね」
「陽子先輩」
「うん?」
額を出して、綺麗に後ろに流した先輩の髪が揺れる。
「本当にすみません。ありがとうございます」
「え?」
面食らった顔の先輩に私は続けた。
「いつもさり気なく助けてくれて、励ましてくれたり、アドバイスくれたり……。逆立ちしたって、陽子先輩には敵いません。今日も……。本当にありがとうございました。こんな後輩で、ごめんなさい」
「……」
最初のコメントを投稿しよう!