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清掃が入った筈だけれど、撤去されずに置かれたままだ。
「君とはなんだか縁があるね」
小さな葉っぱが風に吹かれて少し揺れる。
相づちを打たれたみたいでなんだか嬉しい。
ベランダで立ったままコーヒーを啜る。
程よい酸味と苦みが疲れた体に染みわたる。
「明日から会社かぁ」
達也にいきなりマンションを追い出されて1週間。
生活を整える為、私は上司に頼み込んで、有給を取っていた。
達也とは職場が同じだ。
当然のことながら顔を合わせにくい。
悪いのは向こうだとしても、捨てられてしまったという負い目がどうしても心の隅から出て行ってくれない。
こうなってしまった以上、フロアが違うのが唯一の救いだ。
「あ、そろそろ頃合いかな」
角部屋なので左隣の隣人にだけは引っ越しの挨拶を済ませておこうと、部屋に戻ろうとした時、女性の怒鳴り声が響き渡った。
「どういう事よ!!」
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