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「あの俺、恵太さんが好きなんだ」
大本命の桂銘大学の合格発表の日。
朗報を届けるために恵太に会った潤は、ずっと抱いていた想いを彼に告げた。
同じ大学に通うとはいえ、恵太はもう四年生であまり大学にも来ないだろうし、そもそも学部も違うのだ。
──どうせもう、今までみたいには会えなくなるんだから。
それならば最後に思い切って、と受験前から心を決めていた。
この人なら、たとえ「気持ち悪い」と感じたとしても決して表に出したり、言いふらすようなこともしない。
そう信じられる相手だからこそ好きになったし、告げたいと思った。
「同性が好き」な己に対して抱いていた引け目を、完全にではないが払拭してくれた想い人。
振られても、一歩踏み出す勇気を持てただけで収穫だ。
玉砕覚悟でぶつかった潤に、照れくさそうに笑った彼が「俺もにーなが好きだよ」と答えてくれたのはきっと忘れない。
憧れの大学に入学し、その上に初めての恋人までできた。
潤の生活は、まさに光り輝いていたのだ。
大学三年生になった、つい最近までは。
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