第1話 いよいよ時が来た。立ち向かわなければならない

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 もうひとりの若い女性は、先ほど学生の中から選ばれた一般人だ。条件としてはありすと同じだと思う。ひとのことは言えないのだが、正直なところ、あまり華やかであるとは言いがたい。素人のありすにはどこがどうとはうまく説明できないけれど、なんとなくぱっとしない印象だ。 『次にファンデーションです。こちらの方はニキビ跡が気になるとおっしゃっていたので――』  ありすは前のめりになった。ありすもニキビ跡が気になる。これをカバーするにはどうしたらいいのか、ありすも詳しく知りたい。  BAが学生の顔にファンデーションをのせていく。ブラシで、ぽん、ぽんと叩くように置いていく。ありすのイメージしていたファンデーションの塗り方とはだいぶ違う。ありすは今までファンデーションの付属のパフでしっかり伸ばしていた。 『面で塗り込むと毛穴に入っていってしまいますので。のっぺりとした印象にもなりがちです。先ほどコンシーラーを塗った部分の上に置いて、頬の面積の広い部分は薄く――』  知らなかったことばかりだ。この講座を受けに来てよかった。
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