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第3話~関係~
都美が入学して1週間が経った。
都香と都乃が百合家の中にある、練習場で手合わせしていると、都美がやってきた。
都香はそれに気づくと、手を止めた。
一向に話始めない都美をみて都乃が聞いた。
「どうしたの?都美?ここに来るなんて」
都美は言いずらそうに答えた。
「えっ...と、その...練習に...付き合って...欲しくて...」
都乃は都美が言いずらそうに言ってるのを聞いて、笑っていた。
都乃は笑いながら、都美に言った。
「なーに、そんなことか」
都美は考えているようだった。
都乃の言ったことに付け足すように都香が言った。
「都美、そんなに考えなくていいんだよ。姉妹なんだから、いつでもおいで」
都美は笑顔で「うん」と頷いた。
それから2週間ずっと練習を続けた。
そんなある日、母の妹がやってきた。
母は百合家に嫁ぎ、妹は西条家に嫁いだ。
西条家の者がなんの用なのか分からなかったが、母の妹と言うこともあり話を父と母が聞いた。話の内容はこうだ。
西条家にも、3人の息子と娘がいる。
そのうち、長男の類華は魔力を持ち魔法が使える。
しかし、長女の華火と次男の日華は魔力を持たず魔法が使えない。
百合家の都美と「同じ」なのだ。
そして、貴族の家ではある1つのことが
「決まり」として、存在する。
それは、「貴族の家に息子もしくは娘が誕生した場合は、その全員に魔力を芽生えさせ、『境界線』と呼ばれる大会にて、勝者に跡継ぎを任せる。」
というものが貴族の家に存在する。
それに従うためには、息子及び娘全員に魔力を芽生えさせる必要がある。
しかしながら、百合家三女都美と西条家長女華火、次男日華に魔力が芽生えていないという状況であり、まだ『境界線』を開催できる状況ではない。
けれど、貴族の家に伝わる「決まり」には、続きがある。
それは、「息子及び娘が18歳になる前に行うこと。」
そう、18歳になる前に行わなければならない。
そう考えると、西条家、百合家共に1番上が15歳。残り3年。あと、3年以内に両家ともに『境界線』を開催しなければならない。
そこで、これを利用し母の妹は協力して3人に魔力を芽生えさせないかと申し出てきたのだ。
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