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第4話~説得~
華火が練習に参加しなくなってから、2週間が経った。
いくら私達が呼びかけても馬鹿にしないでと怒鳴るばかりだった。
類華の案で、一時放置しとけば良いと言っていたため、1週間放置していた。
華火が練習をしなくなっても都美や日華は、懸命に練習に励んだ。
そんなある日。
いつものように魔力発動練習をしていると、都美から僅かな魔力が放たれた。
それに気づいたのは、都乃だった。
「ちょっ!都美!さっき...放った...よね?」
都美も戸惑っていたが、都乃の言っていることを理解した都香が聞いた。
「えっ!本当!?」
都美は答えた。
「た、ぶん。」
周りに感動が広がった。
そして、もう1度都美が試すと今度はしっかりと魔力が放てた。
すると、日華が後ろから
「都美ちゃん!すごいよ!」
都美は恥ずかしそうに、ありがとうと言った。
「日華も頑張って!」
そして、その2日後。
魔力発動練習をしていた時にそれは起こった。
日華もまた魔力を放てたのだった。
2人とも魔力を放つ事ができた。
これは、魔力が芽生えたことを意味する。
残るは、華火のみ。
華火の魔力が芽生えれば、『境界線』を行える。
そのために、華火を説得させて練習をしてもらう必要がある。
その日の午後。
華火の部屋に向かった日華は、ドア越しに話あっていた。
「華火、いる?」
少し間が空いたがいると反応があった。
それに続くように日華が聞いた。
「練習にはもう参加しないの?」
この質問にはすぐに答えが帰ってきた。
「参加するわけがないでしょう。どうせ私には...魔法の素質がないのよ!」
日華は、それを分かったかのように言った。
「素質なんてきっと関係ないよ...華火。素質とか言ってたらさ、きっとみんな素質がないから出来ませんで終わっちゃうよ?いいの?それで、当主になってこの世界を変えるんじゃなかったの?」
華火は、言葉に詰まった。
「それは...。...変えたいよ、けど私に出るわけがないんだよ。」
日華は、その言葉を聞いた瞬間に怒鳴った。
「華火!本当にそんなことを言うの!?できるわけがない?何いってるのさ!やらなきゃわかんないことだってあるって知らないの!?」
負けじと華火も言い返す。
「は?そんなことはとっくに知ってるよ!逆にどんな言葉を使えばいいって言うの?...答えてよ...」
最後には華火が泣いていた。
日華は、優しく言った。
「華火はこれからどうしたいの?」
泣きながらも華火は答えてくれた。
「魔法を使えるようになりたい...」
日華は続けて言った。
「ほら、自分の中にやりたいことあるんじゃん。なら、やろうよ。いつまでも付き合うから...」
「...うん...」
最後の声はかすれていた。
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