第4話~説得~

1/2
前へ
/20ページ
次へ

第4話~説得~

華火が練習に参加しなくなってから、2週間が経った。 いくら私達が呼びかけても馬鹿にしないでと怒鳴るばかりだった。 類華の案で、一時放置しとけば良いと言っていたため、1週間放置していた。 華火が練習をしなくなっても都美や日華は、懸命に練習に励んだ。 そんなある日。 いつものように魔力発動練習をしていると、都美から僅かな魔力が放たれた。 それに気づいたのは、都乃だった。 「ちょっ!都美!さっき...放った...よね?」 都美も戸惑っていたが、都乃の言っていることを理解した都香が聞いた。 「えっ!本当!?」 都美は答えた。 「た、ぶん。」 周りに感動が広がった。 そして、もう1度都美が試すと今度はしっかりと魔力が放てた。 すると、日華が後ろから 「都美ちゃん!すごいよ!」 都美は恥ずかしそうに、ありがとうと言った。 「日華も頑張って!」 そして、その2日後。 魔力発動練習をしていた時にそれは起こった。 日華もまた魔力を放てたのだった。 2人とも魔力を放つ事ができた。 これは、魔力が芽生えたことを意味する。 残るは、華火のみ。 華火の魔力が芽生えれば、『境界線』を行える。 そのために、華火を説得させて練習をしてもらう必要がある。 その日の午後。 華火の部屋に向かった日華は、ドア越しに話あっていた。 「華火、いる?」 少し間が空いたがいると反応があった。 それに続くように日華が聞いた。 「練習にはもう参加しないの?」 この質問にはすぐに答えが帰ってきた。 「参加するわけがないでしょう。どうせ私には...魔法の素質がないのよ!」 日華は、それを分かったかのように言った。 「素質なんてきっと関係ないよ...華火。素質とか言ってたらさ、きっとみんな素質がないから出来ませんで終わっちゃうよ?いいの?それで、当主になってこの世界を変えるんじゃなかったの?」 華火は、言葉に詰まった。 「それは...。...変えたいよ、けど私に出るわけがないんだよ。」 日華は、その言葉を聞いた瞬間に怒鳴った。 「華火!本当にそんなことを言うの!?できるわけがない?何いってるのさ!やらなきゃわかんないことだってあるって知らないの!?」 負けじと華火も言い返す。 「は?そんなことはとっくに知ってるよ!逆にどんな言葉を使えばいいって言うの?...答えてよ...」 最後には華火が泣いていた。 日華は、優しく言った。 「華火はこれからどうしたいの?」 泣きながらも華火は答えてくれた。 「魔法を使えるようになりたい...」 日華は続けて言った。 「ほら、自分の中にやりたいことあるんじゃん。なら、やろうよ。いつまでも付き合うから...」 「...うん...」 最後の声はかすれていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加