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だらけきった毎日
バイトが休みの日はいつもスマホを触っているうちに一日が終わってしまう気がする。鵜坂美衣子は今日もスマホゲームで推しを当てるためにガチャを回していた。
「ああ、もう! またリオン様が当たらなかったわ! リオン様だけ確率0.0000001%くらいになってるんじゃないの?!」
ベッドの上にスマホを放り投げかけた手を止めてから、代わりに左手で自分の頬を二度ほど叩いて、もう一度気合を入れ直す。
黒髪で鋭い目つきをした背の高いイケメンのリオン様は美衣子の推しだ。運動神経抜群で知的なところがすごく美衣子の心を刺激する。ほんの一瞬だけ、まるで灯里みたいだなと思ってしまった自分に腹が立ってしまい、一旦深呼吸をする。リオン様と灯里なんかを一緒にしてはいけない。
今回のイベントでは、いつも以上にクオリティ高く描かれているから、なんとしてでも手に入れたいと思い、必死にガチャのボタンをタップしていく。
推しのイベントになるとガチャだけでなく、周回もしなければならない為、ほとんどご飯も食べずにスマホと向きあうから、美衣子は不自然に痩せる。ゲッソリと不健康な痩せ方をするけど、美衣子本人はとくに気にはしていなかった。今は推しがいれば良い。
程よい肉ツキと清潔感のあった高校時代の面影はなく、別人のように変わってしまっていた。今の美衣子を見ても、きっと茉那は好きになんてなってくれないだろう。
"わたし、美衣子ちゃんにずっと憧れてたんだ…… "
高校時代、美衣子の目の前で顔を真っ赤にして伝えてくれた茉那の姿が浮かんだ。大きなメガネをかけていて、地味な顔立ちをしていたけど、小動物みたいで可愛らしかったあの子には今の状態ではとてもじゃないけど会えない。
「ま、そんなことはどうでも良いけど」
そもそも今の美衣子を見ても、昔の可愛らしく、ふんわりとした雰囲気の鵜坂美衣子であると紐づけることもできないだろうし、もし街で会ったってわかるはずなんてない。
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