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このマグカップには、単純な言葉では言い表すことのできない彼女との大切な記憶が詰まっている。昨夜このマグカップを見て心臓が揺れたのは、そんな思い出が脳裏に浮かんだからだ。
小麦が焼けた匂いとフルーティーなコーヒーの香りが、埃をかぶった一年前の思考を掃くように横切る。サクッという音とグーッという音が調和されて耳に届く。
それに気付いたのか、君はスライスチーズが載っかったトーストを自分の顔の高さまで持ち上げた。
「お腹すいてるでしょ。食べる?」トーストの一口分欠けた部分を僕の口元に寄せる。「コーヒーも淹れたよ」
--イケメンで背も高かったから、キザなセリフが似合うよね。
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