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君の丸く柔らかい声が起爆剤となり、昨日のセリフがふと頭によぎった。
「ねぇ、ぼ--」トーストを断るため首を横に振る代わりに、とっさに声を出した。
僕でよかったの? と続きたかったが、君の大きな笑い声に飲み込まれた。君はまたテレビを観ていた。
「ん? なんか言った?」
君は首をかしげ、ビー玉のごとく丸くキラキラと輝く目をこちらに向けた。口はもぐもぐと動かしたままだ。トーストはさっきよりもまた一つ欠けた状態で、規則正しくお皿に戻っていた。
「何でもないよ」
そんな君を見て頬を緩ませながら、僕はふと気が付いた。そういえば--。
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