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「いいね、それ。ロケットから見た月はどんだけ綺麗なんだろうなぁ」君は夢を見るように、白いビニールクロスで覆われた天井を仰ぐ。
「クレーターがはっきり見えるだろうね。うさぎはいないだろうけど」そう言って、僕は狭い部屋を見渡した。
ハンガーラックの前に無造作に置かれているウエストポーチが僕の目に飛び込んできた。
「でもね、やっと分かったんだ」
「なになに?」君は丸い目で、そばで立っている僕を見上げる。
「ロケットに乗って見る大きな月もきっと素敵だろうけど、ここのベランダで眺める遠く輝く月も負けず劣らず素敵だってこと。だから、そんな月を楽しむことができるこの地球が好きだなぁって」
これからする行動で頭がいっぱいだと、こんなにキザなセリフも言えてしまっている。そんな自分に驚いた。
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