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「何その考え。素敵だね」
ウエストポーチを拾い、中に手を入れ、ピアスの小箱に触れる。起毛がかった小箱は、自己を守ろうとしているのではなく、普通の紙でできた箱よりも格上だという確かな自信を持っているように感じた。
よし、大丈夫。今の僕は、君といる時の僕が好きなんだと気付けたんだから。
「これ。昨日渡せなかったから」小箱を手にして、君の小さな顔の前に持っていく。「付き合って、昨日で五年--」
「え! 覚えてくれてたの?」君は身を乗り出してきた。
「当たり前だろ」
『今年のクリスマスは〜、満月! そんな特別な日には、ホールケーキをシェアしよう!』
全国チェーンの洋菓子店のCMが流れ、一年に一度の僕たちの会話を中断させた。
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