月華に照らされる大地を想う

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 そんなアルプスの平原のようなベッドに寄りかかり、コーヒーの香りを嗜みながら、向かいのテレビを点ける。そして、すぐに音量を小さくする。僕の土曜日終わりのルーティーンである。  十二時ちょうど、銀河の映像と共に『宇宙の呼吸』という文字が明朝体で現れた。今週は、先週の回の後編、「月と地球の関係〜46億年の月日〜」だ。 『月と地球には、我々には想像もつかない密接な関係があります』  緊張感のある男性のナレーション。月と地球を同画角でおさえた映像。  月の引力は地球の自転軸の傾きを保っており、その地球の自転がわずか1度でもずれると、地球では大変動が発生するらしい。ピラミッドが雪に埋もれ、南極大陸が砂漠化する⋯⋯。月が存在しないと、地球には生命が住めない。 『まるで喧嘩したカップルのように、離れてから月の重要さを知るのでは遅いのです』
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