月華に照らされる大地を想う

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 そんなナレーションが流れたこの薄暗い部屋には、僕と君がいる。何もない僕と、呑気に眠る君と。ギシギシと心が離れる音が聞こえる。このままでいいのだろうか。  僕には何もない。そう、何もないのだ。とっておきのセリフも、特別な容姿も、何も備わっていない。  耳鳴りのように、どこか遠くから君の本気で怒った声がした。  --私が顔で選んでるとでも言いたいの? ふざけないでよ。
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