月華に照らされる大地を想う

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「宇宙一かわいいよ、だって。さっきのセリフ聞いた?」  きゃーっと照れたように騒ぐ君は、青々しいメロンジュースにさしたストローを咥えた。  土曜日の午後のデート。渋谷ヒカリエでウインドウショッピングをした後、普通のファミレスで普通の休憩を取ろうということになり、こうしてドリンクバーのソフトドリンクをついばんでいる。 「イケメンで背も高かったから、キザなセリフが似合うよね、さっきの人」  彼女が言う「さっきの人」とは、スクランブル交差点を渡っている時、すぐ前を歩いていたカップルの彼氏のことだ。 「どうせ俺はそんなセリフは似合わないですよー」 「なに拗ねてるの?」 「そりゃ拗ねるだろ。俳優とかジャニーズに言うなら分かるけど、そこら辺歩いてた一般人にそんなこと言ってたら」
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