月華に照らされる大地を想う

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 刺々しいセリフを彼女にぶつけた。彼女に対して小言を言うのはこれが初めてだった。ジンジャーエールとは名だけの琥珀色の砂糖でできた液体が、舌の奥でほんのりと辛く感じた。  テーブルを死角に使い、スマートフォンで今夜十八時に予約していたオフィスビルにある最上階のレストランをそっとキャンセルした。自分なりに背伸びをして、予約したのもやっとだったというのに⋯⋯。  何が宇宙一だ。天才が何人いても、宇宙の実態のほとんどが未知のままだというのに。という言葉は、さっきの男の顔を思い出し、喉の奥に呑み込んだ。発することのできない胎児の言葉は、出来たての心臓が存在しているかのごとく、喉元でドクンドクンと重苦しく揺れた。  彼女とは、大学四年生の冬に付き合い、今日で五年になる。付き合った日も、ファミレスでこうして彼女と向かい合ってジンジャーエールを飲んでいた。その時はいつもより甘く感じたこの液体も、今日はなぜかほの辛い。
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