落ちゆく月と最後の魔女たち

10/15
前へ
/15ページ
次へ
「いっそうイリアナも砕けたら、大量の魔鉱石を手に入れられるのに」  できないとわかっていながらカエラはつぶやいた。  魔鉱石さえ十分にあれば月の欠片ぐらい何とでもなる。  イリアナも内に魔鉱石があるにはあるが、取り出すすべがない。  あと一歩というところで有効な案が出てこなくなり、魔女たちに沈黙が広がった。  そんな中、アインが目を輝かせた。 「レイア、いい?」  この質問の意味を正確に理解できたのはレイアの他にはマーラだけだった。  その一人マーラがはっと顔を上げる。 「お願い、レイア」  二人は祈るようにレイアを見つめた。 「お前たち二人が決めることだ」  優しい笑顔で二人を見るレイアに、二人は決意を決めて頷いた。 「月の欠片ぐらいなら何とかなる量の魔鉱石が眠る場所なら知ってる」  アインは振り返り魔女たちにその事実を初めて告白した。 「この森のずっと奥に、誰も入ることができない氷の洞窟がある。魔女も簡単には近づけないその地でドラゴンと共に魔鉱石は眠っている」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加