落ちゆく月と最後の魔女たち

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 全てが決まった時、レイアの時間はほとんど残されていなかった。  魔女たちがドラゴンの眠る地に向かう中には、アインとマーラに付き添われたレイアもいた。  氷の洞窟は魔女たちの祈りにその門戸を静かに開いた。  まるで時が止まったようなその空間には、冷たく神聖な空気が流れていた。  世界の魔女すべてが見守る中アインはドラゴンに語り掛けた。 「グランリアル、目を覚まして」  アインがそうつぶやくとドラゴンは神々しい光を放ち静かに首を動かした。  氷に反射された光は、うす暗かった洞窟をまるで王宮の一室かのように輝かせた。 「ずいぶんたくさん集まってるね」  グランリアルと呼ばれたドラゴンは落ち着かない様子で周りを見回す。 「どれぐらいになる?」  グランリアルはアインとマーラを見つめていた。 「はじめまして、グランリアル。私がマーラでこちらがアインです。リアリデア最後の国王ゼインがこの世を去って700年の時がたっています」  震える声でマーラは話し続けた。 「ゼインとの約束を覚えていますか?」  月が落ちてくること、それを止めるために月を破壊することを決めたこと、魔女はもうわずかにしか存在せずその力だけでは力不足であること、最後の望みが魔鉱石であることを二人は一気に話した。 「わかった。ゼインにはたくさんの借りがある。友ゼインの血をひくものよ、約束の履行の時がきた。そなたたちの望みをかなえよう」  グランリアルの厳かな声が響き渡った。
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