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「私を覚えておいでですか?」
否と言わなかったグランリアルにレイアは遠慮がちに語りかける。
「君はレイア?」
グランリアルは懐かしいレイアの変わらない姿に嬉しそうに喉を鳴らした。
「私はもうすぐゼインと同じところへ行きます。伝言はありますか?」
レイアも共に来ると信じていた魔女たちが騒ぎ始める。
「すまないね。私にはゼインたちとの約束があるから」
振り返り魔女たちを見つめたレイアは、先に行った仲間に土産話をしたいんだと語った。
「笑顔で見送っておくれ」
レイアの言葉にキーナがそっと涙を拭いた。
「ドラゴンの方、頼みがある。全てが終わってもイリアナに残ってくれないか?」
若き魔女たちを心配したレイアの言葉だ。
「あなたの愛したゼインの血を引く二人はここに残る。他にも若い魔女が数名。わがままだとは分かっている。同じ種族に会いたい気持ちも分かる。それでもあえて言わせてほしい。二人がこの世を去るまででいい。二人と共にいてくれないか?」
レイアの頼みにグランリアルは一瞬も迷わず答えた。
「心配しないでレイア。アインとマーラのそばにいることは、ゼインの願いであり僕の望みだ。700年も昔に仲間との別れは済ませてある。そりゃ、伝えたい事が無いわけじゃないけど、魔女たちが伝言を伝えてくれるだろ?」
キーナがそれを力強く引き受けた。
「もちろんだ。私が責任をもって伝えよう」
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