落ちゆく月と最後の魔女たち

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「だからといって諦めてもらっちゃ困る」  レイアのその言葉に、驚いたように魔女たちは顔を上げる。 「まさかお前たち、私の最後を見送るためだけに呼ばれたとでも思っていたのかい?」  あきれたようにレイアに言われて、魔女たちは言葉も出ない。 「近頃の若い者は諦めが早いねぇ」  アインとマーラを除けば、若くても200歳を超える魔女たちに、そう言い放つレイアの年齢を知る者はいない。  魔女狩りで生き残った魔女たちの多くはこの世を去り、残るはレイアだけとなった。  レイアの生まれたころを知るものは、今やドラゴンぐらいだろうけれど、彼らの姿はもうイリアナにはない。   「何か手立てはあるのかい?」  広くないレイアの家に集まった魔女は特に仲の良い10人ほどだけで、残りの魔女たちは通信用の水晶を通して話に参加している。  先の発言をしたのは、西の魔女の一人キーナだ。  レイアの一番古い親友で、年もわずか100ほどしか離れていない。 「ない」  期待して耳を傾けていた魔女たちは、がくりと肩を落とした。  その様子を見て、なんて他人任せなとレイアは思ったが、口には出さない。 「そう落ち込むことはないよ。それを一緒に考えるために、みんなを呼んだんだから」  考えて思いつくならもうとっくにと魔女たちは落胆を隠せない。 「一人で考えてうまくいかなかったからって、何もできないと決めつけてはいけないよ」  レイアの言葉は魔女たちの心に響いた。
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