落ちゆく月と最後の魔女たち

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「それだと魔女の数を増やすのもむずかしいだろうね」  キーナのその言葉にレイアが答える。 「できたとしても間に合わないさ」  人は内の魔力をほとんど持っていない。  魔女はその小さな魔力で、外にある魔力を呼び寄せ、増幅する術をもっている。  だがそれは、そう簡単に手に入るものではなく、素質がかなり物を言う。  そして、たとえ抜きんでた資質を持っていたとしても、一人前になるまでにかかる時間は短くない。  迫害を恐れながら家族と絶縁し、長い時に身を置く魔女の世界に巻き込むことは簡単なことではない。   「アーティファクトや鉱石を探す?」  古き魔女たちが魔力を込め残したアーティファクトや自然の魔力を蓄積した魔鉱石があるにはあるが、大部分がもう使用済みの魔力切れだ。 「もし見つかったとしても、時間を引き延ばすことしかできないだろうね。いずれ枯渇するものにいつまでも頼ることはできない」  長く生き、それらを知り尽くしたレイアの言葉は重い。   だいたい、魔女がアーティファクトを使うのはルール違反だ。  本来は魔力のないものが手軽に魔法の恩恵を受けるために作られたものなのだ。
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