4

5/8
前へ
/188ページ
次へ
◆◆◆◆ 廊下をひた走る。 階段を飛び降りるようにして降りると、再びボイラー室の前に立った。 「――成功してくれよ……」 俺は松脂のボールを取り出した。 小3の時に始めた野球。 肩が強かった俺は、ずっとピッチャーだった。 バッティングはどっちかっていうと―――。 『―――苦手だって?』 誰かの声がした。 『―――駿丘中学のエースが、笑わせんなよ』 俺はボールを握りしめた。 『大丈夫。自分を信じて―――』 宙に向かってそれを投げた。 『………打て!竹原!』 両手で竹を握りしめ、俺は狙いを定めた。 当てるのは炎が燃え盛っている松明の先端。 腰を捻らせ俺は、 思い切りボールを打った。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

256人が本棚に入れています
本棚に追加