6

2/2
前へ
/188ページ
次へ
目覚めるとそこは病院だった。 俺の手を握る泰造が、何やら大声で言っているが、よく聞こえなかった。 「祖父ちゃん、全部終わったよ……」 自分の声も出ているのか出ていないのかよくわからなかった。 しかしその言葉が聞こえたらしい泰造が、眼に涙を浮かべながらしきりに頷くのを見て、伝わったんだなと思った。 俺は天井を見上げた。 東京のあのきれいな病院で、湊斗も今頃、眼を覚ましているだろうか……。 会いに行こう。 確かめに。 次、再び目が覚めたら―――。 俺はそう心に決めて再び目を瞑った。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

256人が本棚に入れています
本棚に追加