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叶うか分からない夢に向かって努力し続けるのは、終わりのない地獄みたいだ。
「ない……」
退勤後、車のエンジンをかけてからスマートフォンで結果発表ページを確認した私は、深いため息をついた。いつものように、私の名前はなかった。
習慣でツイッターを開いてしまって後悔した。そこは喜びとお祝いで沸いていた。
『佳作をいただきました。惜しくも書籍化には至りませんでしたが、ここまで評価していただけたこと、とても嬉しく思います』
『佳作おめでとうございます。書籍化されないのは残念だけど、あの作品、私の中では大賞です!』
『なんと! 拙作が大賞をいただきました!! ぜんぜん実感わかないです。うー、諦めずに頑張ってきて良かった。努力って報われるんだなって思いました。ありがとうございます。これから、書籍化に向けて準備を進めます。また良いお知らせができるように頑張ります』
『おめでとう! あの作品は行くと思ってた。わたしも負けないように頑張るー』
カッと頭に血がのぼった。鼻の奥が痛む。
『また落ちた。みんなが羨ましい。私も褒められたい。何も成し遂げてないから褒められないのは当然だよね。分かってるけど。みんなばっかり、ずるいよ』
投稿画面に打ち込んで、「キャンセル」をタップして「削除」した。私が落胆し、嫉妬している痕跡は、綺麗さっぱり消えた。ひっそりと応募して、何の成果も残せず落選してばかりだから、私の頑張りなんて、誰からも気づかれていないはずだ。
ツイッターからログアウトして、再びため息をついた。これから車を運転して帰宅しなければならない。泣いてはいけない。唇を噛み締め、ハンドルを握る。
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