ピーチティーには砂糖を入れない

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 フェラチオしながら、ときどき上目遣いで俺を見てくる。  その目は、小さな子どもが親に向けて「どうしたらいい?」と伺っているときの目に似ていた。  その目を見ながら、俺はただ彼女の頭を撫でる。  深夜の湖のほとりで、全身に風を感じながら、地面に跪く女を見る。 「脱いでみようか」と俺は言った。  少し周りを見渡したが、誰も居ないのに安心したのか、彼女は服を脱いだ。  下着になったときに、やはりまたあたりを見渡したが、俺はじっと彼女の目を見ていた。  彼女はもう、しっかりと「緩んで」いた。  手を後ろに回し、ブラを外し、乳房があらわになり、そしてゆっくりとショーツを下ろした。陰毛が暗がりのなかで濃い黒を見せていた。 「しゃぶってみて」と俺は言った。  今度は全裸で彼女は跪き、俺のちんぽをしゃぶった。手も器用に動かしている。少し酒を飲ませたのが正解だったのかもしれない。  今の彼女に必要なのは理性ではない。そしてまた、「常識」でもない。  そこには、ただひとりの「女」が居た。  もっとも自然な姿の、もっとも自然な心の女が居た。  射精をしたとき、彼女は涙を流しながら精液を飲み干した。  ペニスの根本から先っぽまできれいに舐め取り、「へへ」と笑った。  そして俺は、ご褒美にキスをした。  それから3ヶ月。  彼女はすっかり、「裸」になることが出来るようになった。  裸とは、野外で全裸になることではない。  心だ。  何にも捕らわれない。ありのままの心。  縄で縛るのが効果的だったのは、普段の彼女が抑圧してばかりだったからだ。  縄で縛ることにより、抑圧を具現化し、その中で、快楽と救済を与える。  そうすることによって、現実社会でも希望を見いだせるようになるのだ。  狢縛りとは、手首と足首を拘束する縛り方だ。  仰向けになり、赤ちゃんがおむつを変えるときのような格好で、足を上げ、そこに手を持っていき、縛る。  自由を奪われ、肛門や性器がむき出しになる。  目はネクタイで目隠しをし、両方の乳首は専用の器具で吸わせている。  その状態のまま、俺は彼女に「今日は何があったの?」とか、「そのとき唯ちゃんは何がしたかったの?」なんてことを尋ねる。  そして答えをすべて肯定し、褒めてあげる。  そんなコミュニケーションをしながら、ちろちろと性器を愛撫するのだ。  くちゅくちゅ、くちゅくちゅ、音がする。  肛門の方まで汁が垂れてきている。  膣口に人差し指を挿れて、ぐるぐるとかき回す。  ときどき、クリトリスをつまんで弄ったりもする。 「あゆむくん、あゆむくん」と彼女は俺の名前を呼ぶ。 「どうしたの? 唯ちゃん」 「挿入れて、ほしいよぉ」と声を漏らした。  俺は手を止めて、顔の方に向かった。  耳を撫で、唇を撫でる。 「挿入れてほしいの?」  うんと頷いた。 「それが出来ないことは、唯ちゃんも知ってるでしょう?」  うん、だけど。  まるで子どものようになった彼女は泣きそうであった。 「代わりに、舐めてあげるよ。唯ちゃんが好きなところも、指で押してあげる」  そう言うと、彼女は「うー」と言葉にならない声を出した。  もう一度、「下」の方に戻り、愛撫を再開した。  ぬるぬるとした性器は、しっかりと緩んでいる。刺激をするたびに、あうあうと彼女は声を漏らす。  指を二本挿れて、少し曲げる。  あるひとつのポイントを刺激すると、愛液が溢れるように出てくる。  じゅ、っっじゅっと、にじみ出てくる。まんこの中が、とろとろになる。  クリトリスを、吸った。  指で中を刺激しながら、陰核を吸う。  強く吸ったり、弱く吸ったり、舌で弄んだり。  だんだんと、彼女の呼吸が荒くなってくる。  縄を解いてあげた。自由になった彼女の手を握って、自身の性器に当てがった。 「わかる? こんなに濡れてる」  ほら、指もするっと入るよ。と言って彼女の指を膣の中に挿れた。 「オナニー、してみて」  そう言って、乳首の器具も取った。  彼女は素直にオナニーを始めた。  片方の手でおっぱいをいじり、もう片方でクリやまんこをいじる。  あ、あん、  あ、あ、  あゆむ、くん。 「欲しいの?」と聞いてみた。  こくんと頷いたので、彼女の目隠しを外してあげた。  拘束の外れた彼女は真っ先に俺のちんぽを咥える。  犬みたいな目になり、俺の方を見る。  頭を撫でてやる。 「いい。良いよ」と俺は褒めた。  彼女は、どこで覚えたのかフェラチオが上手い。  舌使いも、手での愛撫も、唇の圧も、攻め方も、上級だ。  俺はほんのすこし教壇に立っている小野寺唯を想像した。  真面目に、勉強を教える教師。  教師も、人間なんだなと俺はなんとなく感慨に耽っていた。  愛おしそうにちんぽを舐める25歳の女教師。彼女は学校の生徒のスカートの丈とか注意したりするのだろうか。  はあ、はあ、と言ってきたので。「飲む?」と聞いてみた。 「飲ませて」と彼女は訴える。 「いいよ。飲んで」と俺は許した。  ん、と言って彼女はちんぽを舐め、咥えた。  本当に上手いな、と感心する。  ああ、出そうだ。 「ゆい」と俺は言った。  上目使いで、彼女が見てくる。その口の中に、勢いよく射精をした。  どくんどくんと脈打つ。  咥えた口を離さずに、まるで搾り取るように彼女は精液を飲み干した。しっかりと、掃除もする。 「気持ちよかったよ。ゆい」と彼女を褒めた。  ご褒美だ、と言って抱きしめる。  そこから先は、「放流」「放出」という言葉が似合う時間だった。  彼女は何度もオーガズムを感じ、とんでもない量の潮を吹いて、何度も叫び声を上げていた。  失神して、失禁したのを見て最後にした。  バッグから聴診器を持ってきて心臓の音を聞いた。大丈夫。死んでない。  ホテルのタオルでおしぼりを作り、彼女の額や体を拭いた。髪を撫でる。  すっかり、力の抜けた顔をしている。
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