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「見事!」
それは天には雲一つないとある快晴の日の出来事であった。
「よもや直賢に勝つとはな。噂に違わぬ、いや、それ以上の腕前か。汝に『日下無双』の号を与えよう。」
「ははっ!」
時は室町時代末期、将軍足利義昭の命により御前試合が行われた。
その試合に勝利したのは宮本武仁、又の名を無二斎。
流派は当理流、世間では十手二刀の達人として有名であった。
対戦相手は足利将軍兵法師範の吉岡憲法直賢。
将軍の武術指南をする役目を担っており無論剣術の腕は生半可なものではない。
初めの一本は憲法に取られたものの二本三本と続けて武仁が連取。
一説によれば一本目は憲法の顔を立てるためわざと勝ちを譲ったという。
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