友情(Side百合)

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そして仕事終わり。 私と響子は周囲の目を気にせずゆっくり話すため、デパ地下でお惣菜や飲み物を買い込み、私のマンションへ向かった。 今日はおうちで女子会をすることになったのだ。 仕事終わりで空腹な私たちはテーブルに並べたデパ地下グルメに手を伸ばす。 「それで、百合はここ最近どうしたの?何に悩んでるの?ほら、響子さんに話してみなさい」 わざと茶化した感じで明るく響子が切り出し、その気遣いに感謝しながら、自分の家だということも相まって私はリラックスして口を開き出した。 「あのね、ちょっと事情があって詳しく相手のことは話せないんだけど‥‥実は私好きな人がいるの。その人とは秋くらいから付き合ってるんだけどね‥‥」 そこから私は、高校時代に当時の彼氏を亡くしたこと、彼氏がその彼にそっくりなこと、最初は面影を重ねてたし混乱してたけど今は彼氏自身が好きなこと、先日高校の同級生に遭遇して彼氏に過去を話したこと、そしてそれ以降彼氏とギクシャクしてしまってることを包み隠さず話した。 響子は相槌を打ちながら真剣に私の話に耳を傾けてくれた。 「なるほど。それで彼氏とギクシャクしちゃってて、でもその原因がよく分からなくてどうしていいか悩んでるっことかぁ」 「うん‥‥」 響子は自分の思考を整理するかのように、顎に手を当てながら静かに考え込む。 そしてしばらくしておもむろに口を開き、噛み締めるように言葉を紡ぐ。 「これはあくまで私の考えだけど。もし私がその彼氏さんだったらって想像した時に思ったのがね、百合が亡くなった彼を忘れられずにいて、だからその彼に似た自分と付き合ったのかな?って心配になるかもって思った」 「えっ‥‥?」 「本当に自分のことが好きなのかな?って心配になったり疑う気持ちが出てくるかもなって」 「心配‥‥?疑う‥‥?」 「うん。実際に私も今日百合の過去を初めて聞いて、でもちょっと納得しちゃってさ。あぁだから百合は今まで彼氏と続かなかったし、途切れないくらい来るもの拒まずで去るもの追わずだったのかって。彼のこと忘れられなかったんだなって思ったの。そんな彼と似てるって聞いたなら、自分はその彼と重ねられてるだけなんじゃないかって心配になるのは当然な気がするんだよね」 それは私にとって意外な指摘だった。 私の中ではもうその折り合いはついていて、亮祐さんと春樹を全く重ねていないし、亮祐さん自身が好きだったから、思い至らなかったのだ。 「ちなみに百合は彼氏さんに言葉で伝えた?似てるのは事実だけど重ねてないし、彼氏自身を好きになったって」 そう言われてあの日のことを思い返す。 確かに私の過去を包み隠さずに正直に打ち明けたが、”私の気持ち”は伝えていなかった。 「‥‥言ってないと思う」 「それならそれ彼氏さんはやっぱり心配になっただろうし、百合の気持ちを疑ってしまってるのかもしれないよ」 「でも特に聞かれなかったよ?」 「聞けなかったんだよ、きっと。だってそうかもしれないって思ったら聞くの怖いよ」
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