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亮祐さんも心配になったり、疑ったり、でも聞くのは怖いと思っていたのだろうか。
もしそうなんだとしたら、私のせいだ。
私がちゃんと”私の気持ち”をハッキリと伝えるべきだったのだ。
「どうしよう‥‥私‥‥」
申し訳ない気持ちと後悔の気持ちがグルグルと私の中で渦巻き、やりきれない思いが言葉で漏れた。
「百合、落ち着いて!まだ彼氏さんと別れたわけじゃないんだから、ちゃんと気持ち伝えて誤解を解けばきっと関係は修復できるよ!ね?」
「気持ちをちゃんと伝える‥‥」
「そう!特に百合はさ、もしかして彼氏さんの前でも考えてることとか思ってることとかを自分から言わないんじゃない?」
その通りだった。
亮祐さんにももっと言ってほしいと言われたことがあった。
「うん、そう言われたこともある。あともっと甘えて欲しいっていうのも言われた‥‥」
「もちろん相手に合わせたり、気配りしたりできるのは百合のいいところだよ。でも、もっと自分をさらけ出してもいいんじゃない?受け身じゃなくて自分からぶつかっていくくらいの感じでさ!」
「響子‥‥」
同期として入社して長年の付き合いだ。
本当に響子が私のことを理解してくれていて、いつも見守ってくれていたんだなと実感し、目頭が熱くなった。
「ほら〜泣かないの!そんな可愛い顔は彼氏さんにだけ見せなさいっ!」
「ふふっ、そういう響子も涙目だよ?」
「だって百合がこんなふうに話してくれて嬉しかったから」
私たちは涙を浮かべながら微笑み合う。
私はなんとも言えない温かな気持ちに包まれた。
(響子に話を聞いてもらって本当に良かった。私だけじゃきっと気づかなかった。私もっと亮祐さんに自分をさらけ出して、ぶつかって行って、ちゃんと気持ちを伝えたい‥‥!)
気持ちを固めていると、そんな私の様子を見て響子はクスッと笑う。
「事情があって話せないって言ってたけど、言えるようになったら彼氏さんのことも教えてね?」
「うん!話せるようにまずは私ぶつかってくる!」
ちゃんと話をするならやっぱり会って目を見て話したい。
でも亮祐さんが海外から戻ってくるまで待てない。
(よし!こうなったら私がアメリカに行っちゃおう!)
ーーそう決意するのに時間はかからなかった。
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