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ホテルへチェックインした後は、外が暗くならないうちにと思い、財布やスマホ、ガイドブックなどをショルダーバッグに詰め込み外へ出る。
そして亮祐さんの滞在しているホテルへ向けて歩き出した。
幸いにもそのホテルはマンハッタンの中心部にあり、セントラルパークに程近い。
誰もが名前を知っている高級ホテルなので、たぶん迷うことはないだろう。
私はニューヨークの街並みを楽しみながら、ホテルまでの道のりを歩いた。
ホテルに着くと、そのクラッシックな佇まいと豪華さに圧倒されつつ、まず私はフロントへ向かう。
さすがにフロントで亮祐さんの部屋番号などを聞くことはできないだろうけど、伝言を伝えてもらうことができるかもと思ったのだ。
メッセージも送っておくつもりだが、すれ違う可能性も考慮して念のためだ。
「May I help you? (いかがされましたか?)」
「Hello, I'd like to leave a message if possible.(こんにちは。もし可能なら伝言をお願いしたいのですが)」
「Sure. Who is the message to?(承知しました。誰に向けた伝言ですか?)」
「Mr.Ryosuke Otuka. He is a guest here. Please tell him Yuri is in the tea lounge here.(大塚亮祐さんです。ここの宿泊者です。彼に百合はここのティーラウンジにいると伝えてください)」
「May I have your name?(お名前頂戴できますか?)」
「I’m Yuri Namiki.(並木百合です)」
そう伝言を頼むと、続いてホテル内にあるティーラウンジへ向かう。
このティーラウンジで紅茶を飲みつつ亮祐さんを待とうと思っているのだ。
(わぁ、紅茶一杯ですごく高い!日本のホテルのラウンジよりも高いし、さすがニューヨークの物価だなぁ)
感嘆のため息をつきながら、私はせっかくだからとチーズケーキも一緒に注文をした。
ケーキと紅茶を楽しみながら、スマホを取り出し、ホテルのWi-Fiに繋いでインターネットを利用する。
インターネット接続を得たことでLINEのメッセージが使えるようになり、私は亮祐さんに一本のメッセージを送る。
“お仕事お疲れ様です。今日仕事が終わってホテルに戻ったら電話もらえませんか?待ってます”
今は午後の7時だ。
最近は8時までにはホテルに戻れることが多いと亮祐さんは言ってたから、きっともうすぐ会えるはず。
私は亮祐さんに会えるという期待に膨らむ気持ちと、本当に突然来て大丈夫だったかな?迷惑にならないかな?という不安の気持ちを抱え、ただただ亮祐さんを待ったーー。
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