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壱
狂っている。
俺も、あいつも、あの人も。
善良な一般市民の面をして、真っ当な人間を演じながら生きている。人に化けるのがうまいのだ、俺たち三人とも。この世界の塵芥のような俺たちは、人畜無害な顔をして、その裏では大罪を犯しているような屑である。
しかし、俺はこれが普通であると思う。
人は誰しもどこか狂っているものだ。通りすがった名の知れぬ通行人も、後世に名を残すような立派な偉人も、誰もが狂気を持っている。この世に狂っていない人間などいない。
俺たちは、ありふれた只の狂人だ。
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