1.雷乃収声 (らいすなわちこえをおさむ)

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1.雷乃収声 (らいすなわちこえをおさむ)

9/24 わたし:秋分だね。春分と一音違いなのに季節感の違いがあっていいね。 なぎさ:朝食と昼食みたいなものかな。言い間違えやすい。じゃあ、どうぞ。 わたし:まあ、そんなに急がないで。春分の時は、こんなのを詠んだんだよね。  春分の曇りて読書の目にやさし  ゆえもなく春分に約束を交わしたり  今日よりは橋の音早き春分や なぎさ:工夫が目立って実感が乏しいな。「春分の」の句はまあいいかな。 わたし:う、始めます。  秋分の雨窓を開けベッドへと なぎさ:雨だから1日中寝てましたって、あたしの部屋を覗いてたな!   山頭火秋分の寺線香や 1b7b10d6-0c7d-4574-a1e6-b64efa3f5904 わたし:谷中銀座の本行寺の小さな境内にある碑だね。インスタ(シトロン@葛飾)で報告した旧古河庭園の後に行きました。 なぎさ:あのさ、ネタにしといてなんだけど、山頭火の句ってわかんないんだよね。というか、ご本人はよほど自信家なのかなって思うんだよね。 わたし:コメントは差し控えさせていただきます。同じく本行寺の境内の写真で。 24277d57-ab3c-4474-801d-b6a5e0473bc0  白の萩肢体を揺らす秋分や a467abe6-b10a-4a8c-bdee-eb973628e0e5 なぎさ:色っぽい感じだね。〇体だともっとすごみが。 わたし:やめんかい! 谷中銀座を歩きながらお寺を覗くと線香の香りがいい感じでした。  彼の人と酒酌み交わす秋分や 3dbff055-8d3c-440a-b9f5-ee77cd6588b8 お墓参りのお供ともお供えとも解釈できるかなって。 なぎさ:どっちにしても飲むんでしょ。  彼岸晴れ誰の墓やら酒うまい ぶっちゃけ秋分より彼岸の方が詩的だよね。秋彼岸でないと紛れるって野暮はなしで。 わたし:酒が飲みたくて適当なお墓の前で座り込んだのか? なぎさ:いえいえ、お彼岸にもひっそりしてるお墓を慰めてあげようという、やさしい心です。 わたし:夜に幽霊がお礼に来ても知らんぞ。わたしも彼岸で行きます。  パン屋さえ花を商う彼岸かな 07fad5fc-7bbe-483a-85a2-cbf7abfaba67 どうよ! なぎさ:これカバーに使ってるやつじゃん。繰り返しかぁ。 わたし:そういうメタなこと言わないで。 28c43813-6c50-401e-91fe-b7d2b8a3ed72 遅ればせながら本行寺です。 なぎさ:横書きの看板はなんて書いてあるの? わたし:たぶん長久山だね。右から読む。 なぎさ:あ、なるほど。向かって左の縦書きは? わたし:月……月見バーガー? なぎさ:んなわけあるかい! 32752276-618a-419b-8cf8-c63ec2063dfd わたし:これは〇王寺です。 なぎさ:読めないんだったら、読めないっていいなよ。さっきから広告剥がされるの気にしてるYouTuberみたいだよ。 わたし:そういうのを諷してるんだよ。見えにくいけど、ベンツが境内に入って行くところなんだ。  秋彼岸ベンツで乗り込む墓参かな このお寺も萩がキレイだった。 896bf1d6-d2d4-412e-ad32-1e02e6a1b403 なぎさ:秋は和の花がキレイだなぁ。
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