7.乃井朱音

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いっくんはしっかりしてる。 私の学校に着いて「じゃあな」と言ったいっくんは、自分の学校がある方へ歩いて行く。 「…」 今日、美涼は来てるかな。 来てたらもう一度、ちゃんと話したいんだけど。 そう思ったけど、美涼の席は空席だった。 美涼が居ない事に落胆したのは私だけじゃなくて、 「やっぱ涼くん来てないかぁ~」 「昨日来てたのが奇跡だからね」 「でもどうして来たんだろ。虹狐ちゃん話し掛けられてなかった?」 「あ、…うん」 「芹沢さん、男の人苦手じゃなかったっけ?」 「うん、でも美涼とは知り合いで…」 「…ふーん」 「男の人は苦手なのに、楡野君なら良いんだ?」 「楡野君も男じゃなかったっけ?」 「…」 …冷たい。 元々人付き合いが得意じゃないから、友好関係が築けてない。疑いの目が私に向けられる。 「それはっ、」 「こらこらぁ~、空気悪いよ~」 そんな私たちに、中学から一緒の優美が助け船を出してくれた。
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