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「では時間もありませんし、今日は生徒が主体となって進めることになっておりますので。えー、市条高校の代表の子から、発表を宜しくお願いします。」
教師の挨拶の後、シーンと体育館は静かになった。
辺りを見渡す子が複数人居る。
遠く離れた場所で、音がする。
ゆっくりと体育館を踏む音、一定のリズムで歩みを刻むその人の頭が集団から抜け出て、舞台下で一礼すると階段を上がり始めた。
右手にも左手にも資料は無い。
階段を上がってもう一度、その人は一礼する。
舞台の右端に置かれた教壇の後ろで、その人は足を止める。振り返って体育館に向いた彼は、深く綺麗にお辞儀をした。
「っ、」
顔を上げた瞬間、きっと皆んなが息を呑んだと思う。
カタッ…
「光ケ丘高校一年生の皆さん、こんにちは。本日はご多忙の中、御校にお招き頂きありがとうございます」
「…」
「先生から説明があった通り限られた時間になりますが、お互いに有益な時間になればと思っています。どうぞ宜しくお願いします。」
「…」
「市条高校を代表して、私"乃井朱音"が、発表をさせて頂きます」
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