7.乃井朱音

7/7
前へ
/217ページ
次へ
「マジカッコ良かったよね!乃井君っ!!!」 「あれはレベル高いって!」 「他校でも騒がれてるの分かるわぁ~。あ~っ、私も向こうの高校受ければ良かった」 「無理でしょ?市条って偏差値めっちゃ高いじゃん」 交流会が終わっても乃井君の話で持ちきりだ。それくらい乃井朱音という人はインパクトがあった。 授業が終わり教室に戻るため、うちの高校の生徒たちは校舎内に流れていく。逆に交流相手の高校は、体育館外へと流れていく。 私も教室に…と思って、何故か刺すような視線を感じ反射的に振り返った。 流れていく、私達とは違うブレザーの制服。 見慣れない人達の背中をぐるっと見渡して、やっぱり視線を感じる。感じるそれを追って視線を向ければ、集団から少し離れた所に立つ乃井君がジッと私を見ていた。 「…」 遠目でもカッコ良い。 爽やかなのに色気を感じる乃井君は、目が合った私に向かって何かを呟く。 「?」 三回くらい動いた唇を、読み取る事が出来ない。 足を止めて目を凝らす私にもう一度、乃井君は少しだけ笑みを浮かべて何かを口にする。 「?」 でもやっぱり何を言ったか分からない。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加