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「マジカッコ良かったよね!乃井君っ!!!」
「あれはレベル高いって!」
「他校でも騒がれてるの分かるわぁ~。あ~っ、私も向こうの高校受ければ良かった」
「無理でしょ?市条って偏差値めっちゃ高いじゃん」
交流会が終わっても乃井君の話で持ちきりだ。それくらい乃井朱音という人はインパクトがあった。
授業が終わり教室に戻るため、うちの高校の生徒たちは校舎内に流れていく。逆に交流相手の高校は、体育館外へと流れていく。
私も教室に…と思って、何故か刺すような視線を感じ反射的に振り返った。
流れていく、私達とは違うブレザーの制服。
見慣れない人達の背中をぐるっと見渡して、やっぱり視線を感じる。感じるそれを追って視線を向ければ、集団から少し離れた所に立つ乃井君がジッと私を見ていた。
「…」
遠目でもカッコ良い。
爽やかなのに色気を感じる乃井君は、目が合った私に向かって何かを呟く。
「?」
三回くらい動いた唇を、読み取る事が出来ない。
足を止めて目を凝らす私にもう一度、乃井君は少しだけ笑みを浮かべて何かを口にする。
「?」
でもやっぱり何を言ったか分からない。
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