魔王誕生

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魔王誕生

「さあ、殺せ!殺すのだ!!」 これはまだ、人間が誕生して間もないころ。 魔王が天使だったころの話。 人間に向かって「殺せ」などと、ぶっそうなことをささやいているのが、天使時代の魔王である。 「そうだ!殺せえええ!!どんどん殺すのだ!!!」 迫力がすごい。 一応言っておくが、彼はまだ闇落ちはしてない。 まごうことなき天使である。 数日前。 この天使は、神様からこんな使命を与えられた。 「人間に欲望を教えて、人間がそれにたえられるかを試すのが、あなたの仕事です」 きちんと神様から命じられた役目なのである。 それ以来、この天使は人間に悪いことを教え続けていた。 「殺せ!!」 「奪え!!」 「欲望を解放しろ!!」 このような汚い仕事、天使の心が痛むかと思いきや……。 「これこそが、私の天職だ」 天使は目を輝かせてそう言った。 天使は神様もドン引くほどノリノリで人間を悪の道へと導いていた。
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