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「言われたとおり、『いにしえの国』の麒麟の血を採ってきたぞ。
それに火、風、水、光、闇の魔法使いの血も。
あとオレ様の血も、鳥姿と人間姿のと両方ある。
苦労して採ってきたんだから丁寧に扱うんだよ、いいね?」
そう言って不死鳥はそっと8つの小瓶を差し出した。
「ああ」
しかし、魔王は小瓶を受け取ると、いきおいよく台の上に置いた。
ビンは高い音をたててふるえ、中の血がぐるぐると回った。
割れはしなかったものの、危ないところだった。
不死鳥は口をあんぐりと開けた。
そして、すぐに炎を巻き上げると、魔王の周りをぐるぐるとせわしなく飛び回った。
「ねえねえ、話聞いてた?聞いてないよね?
馬鹿なの?馬鹿だな?
オレ様は完全にキミのこと嫌いになったよ。
もとから嫌いだけどね!」
魔王はそれも無視して準備に取りかかる。
不死鳥は赤子の死体が並んだ台の上にとまると、大きな翼で頭をかきむしった。
「あ〜もういや!!腹立たしいねぇ!?
せっかくこのオレ様がぁ?ここまでしてやってるのにぃ!?」
真っ赤な羽がかすかな炎をまといながら、抜け落ちていく。
「無駄口叩いてないで私の指示に従え。
羽も散らかすな。わずらわしい」
魔王が口を開いたかと思えば、相変わらずのこの態度である。
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