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そして、火の魔法使いの血をかけられた赤髪の少年が一番に目を覚ました。
口を開けて辺りを見渡す顔は、かなりアホっぽかった。
挙動不審な少年に、魔王は南の赤い鉱石で作った、金色の装飾の手鏡を渡した。
「お前は火鏡で『魂』をつかさどる私のしもべ、魂鏡火(こんきょうか)だ」
魂鏡火と呼ばれた赤髪の少年は、キラキラとした眼差しで火鏡を受け取ると、大きくうなずいた。
彼はこの鏡をとても気に入ったようで、うっとりと見つめたり、にっこりと微笑んだり、しまいには頬擦りをしだしたりしたのだった。
それを見て不死鳥が、
「鏡が汚れるでしょ」
と注意をする。
それでも彼は当て付けのように頬擦りをやめなかったので、不死鳥は無理やり取り上げた。
魂鏡火は玉座の間のすみっこでいじけて、頬を膨らませながら不死鳥をにらんでいる。
不死鳥がちらりと目をやると、魂鏡火は舌を突き出した。
「け、可愛げのない子どもだよ」
それを見て魔王が笑う。
「魂鏡火はお前に似たのかもな」
「はあ!?なんでだい!」
「魂鏡火は火の魔力を強めるために、鳥姿のお前の血を多くかけたのだ。
お前に似て当然であろう」
「あー、はいはい。鳥姿のオレ様はこんな性格ですもんねー!
なんか色々と言いたいことはあるけど、全部ひっくるめて最悪だって言っとくよ!」
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